片・すぐお腹痛くなる。

まだ生きていたのか?!

大好きなペンの話

 筆圧が弱くてこだわりが強い私は、学生の時分から書きやすい筆記具に尋常ならざる執着を見せ、一度気に入ると同じものを何本も買い求め、それらが廃盤になると半狂乱になって代替品を探し回ったものでした。
 私が小学生から中学生の頃は、ドクターグリップの全盛期でした。猫も杓子もドクターグリップで、私も1本くらいは持っていたと思います。ドクターグリップをデコレーションするのも流行っていて、グリップやペン軸の外筒を一度外して中にシールを貼ったり雑誌の切り抜きを差し込んだりして自己流にアレンジしていたのです。でも私はドクターグリップってグリップが太すぎて書きづらいナーと思っていました。余談ですが、小学生の頃はシャープペンシルの使用が禁止されていました。でもどうしてもシャープペンシルが使いたい私たちは、鉛筆型のシャープペンシルというものを使っていたのです。これはちゃんと軸が木でできていて、上部にはいかにも鉛筆についているような消しゴムがついていて、ペン先のほんの数ミリの金属製の部分を除けば、どっからどー見ても鉛筆にしか見えないというシロモノなのです。あれは、割かし細くてプラスチック特有の硬さもなくて書きやすかったなあ、と今になって思うのです。デザインも可愛いものがたくさんあってけっこう好きでしたね。またまた余談なのですが、中学生の頃、男子の間で製図用シャーペンを使うのが流行っていました。誰も製図なんてするわけでもないのに、おかしいですよね。閑話休題。最終的に私が行きついたシャープペンシルは、ゼブラのフリシャオートマチックでした。ドクターグリップなんかに比べたら格段に安くて、機能性もそこそこで、何より細めのペン軸と、グリップからペン先にかけて段差のない滑らかなデザインが私の手にフィットしてくれて、大変気に入ったのです。私はこのフリシャオートマチックの、パールがかったミルキーなパステルカラーのラインナップを愛用していました。紫と緑と水色を購入して、今でも水色のものが手元に一本残っているのです。残念ながら既に廃盤になってしまったので、この一本を後生大事に使っていこうと思うのです。
 ボールペンに話題を移すと、私が最も多くの替え芯を買ったボールペンは、間違いなくぺんてるのハイブリッドなのです。このペンは母親が愛用していて、たまたま貸してもらったときにその書き心地に感動して、以来日記を書くにも履歴書を書くにもハイブリッド一択、おそらく何十本のペン軸と、それ以上の替え芯を買ってきました。なんせインクの減りが早いのです。このペンのいいところは、強弱のニュアンスがつけやすくて、自分の意図したとおりの線が書けるところなのです。同じように強弱がつけられるボールペンはたくさんありますが、「はらい」を書くときに、どうしても意図しない方向に線が流れてしまうものが多いのです。ハイブリッドはその点、きっちりと最後の1ミリまで意図したとおりのきれいな「はらい」が書けるのです。唯一欠点をあげるとしたら、キャップのクリップが激弱ですぐにぽきぽき折れてしまうということだけなのです。そもそもクリップの耐久性にそこまで重きを置いていないのでしょう。私は当時小説『プリンセス・ダイアリー』にいたく影響を受けてどこへ行くにも日記を持ち歩いており、日記にしている薄いA5ノートを常時ハイブリッドのクリップで挟んでいたのです。エプロンのポケットかコピー用紙数枚を挟むくらいならそうそう壊れないとは思うのですが、ノート丸々一冊分の紙束を長時間挟み続けるにはハイブリッドのクリップは弱かったというだけの話なのです。
 私がハイブリッドを愛用している頃、周りの女子がこぞって使っていたペンがパイロットのHI-TEC-Cでした。ハイブリッドで書き慣れている私には引っ掛かりが強すぎてガリガリする書き心地に思えたのですが、カラーバリエーションが豊富だったので、かわいい手紙を書きたい時用に何本か持っていたような気がします。ハイテックCと同様に流行っていたカラーペンがセブラのSARASAでしたが、これは私には全く使いこなせないペンでした。何かというとすぐにインクが出なくなって、私にはこのペンを最後まで使い切れた記憶がないのです。そんな私がジェルインキのカラーペンの中で一番好きだったのが、ぺんてるのスリッチです。衝撃的なデビューでした。ハイテックもサラサもシグノも、途中でペン先がダメになってインクが出なくなることがままあるのですが、スリッチにはそれがありませんでした。その書き味たるや驚きの滑らかさで、一時日記に使うメインペンをハイブリッドからスリッチの茶に乗り換えるほど入れ込んでいました。ただ、なぜだかわからず甚だ遺憾なのですが、スリッチも廃盤になってしまいました。こんなに書きやすいペンが廃盤になる意味がわからないのですが、今ではスリッチーズという名前で、カスタマイズ多色ペンのリフィルに形を変えて販売され続けています。私は3色タイプの軸を二本買って、そのうちのひとつにスリッチーズのブルーブラックと紫とピンクを入れ、もう一つにはブルーブラックと水色とオレンジを入れて使用しています。すっごく色がきれいで書き味が滑らかで気に入っているのです。欠点は、インクの減りが早いことと、水に濡れると書いた文字が全部消えることくらいなのです。そんなのはさしたる問題ではないのです。
 カラーペンの話をもう少しすると、学生時代は交換日記やプリクラ帳をかわいくデコるために水性カラーサインペンを使っていました。私の周辺では水性カラーサインペンといえばトンボのプレイカラーが主流でしたが、私が好んで使っていたのは三菱鉛筆のピュアカラーなのです。ピュアカラーは現行品では24色展開ですが、私が最もよく使っていたころは36色展開だったと記憶しています。私は何よりピュアカラーのペン先を愛していました。太字の方は、線の端が丸くなるところと一定の太さで書けるところとペン先がつぶれたり割れたりしづらいところが大好きですし、細字の方は細すぎないところが大好きです。プレイカラーだと細字のペン先が細すぎて私のやりたいデコり方ができなかったのです。ピュアカラーも学生時代に使っていたものが手元に何本か残っているのですが、さすがにインクが掠れてしまっているのです。でも、今では廃盤の色もあるのでなんだか名残惜しくて捨てられないのです。
 話をボールペンに戻すと、仕事や日常生活で気兼ねなく使うのは圧倒的に油性ボールペンなのです。主に自宅では、ペン軸のカラーバリエーションが豊富で見た目がかわいくて安価という理由で、pencoのノックボールペンを5本程度自宅のそこら中に散らして愛用しています。書き味は、速記には向いていないものの概ね狙った線が引けて書きやすいと思うのです。仕事では、専ら取引先から粗品で貰うボールペンを気に入って使っていて、一昔前はパイロットのパティント、今は同じくパイロットのオプトを使っていることが多いです。どちら同じインクが入っていて、私はこのインクがとても書きやすくて気に入っているのです。ただ、パティントはクリップが壊れると一巻の終わりで、私はとても頻繁にクリップを壊すので、クリップが壊れても筆記できるオプトの方が自分には向いていると思うのです。私がパティントのクリップを壊しまくっている頃、世間ではジェットストリームが全国民の手に渡るレベルで浸透していたのですが、私がジェットストリームで筆記すると紙からペン先を離すときにインクの糸がみょんみょんと伸びて汚くなってしまうのです。
 私の気に入る筆記具はパイロットかぺんてるのものが多いのです。試し書きができない売り場でボールペンを選ぶときは、パイロットかぺんてるのものを選ぶようにしているのですが、今のところ失敗はほとんどないのです。みなさんにも好きな文房具メーカーがあるでしょうか。筆圧もペンの持ち方も人それぞれですから、それぞれに書きやすくて気に入った文房具があると思うのです。

 これまた余談ですが、私が学生の頃に一番好きだった消しゴムはプラスのAIR-INでした。軽くこするだけできれいに消せて、千切れにくいところが大変気に入っていたのです。

日記30

 先日のお休みの日に、前に行った他人ん家みたいな外観の古着屋さんにまた行ってきたのです。初めて行ったときにラインナップと価格が良すぎて「絶対また来よう!」と思ったのに、気づけば一年以上経っていました。前回行ったのが3月で、まだ春服が出ていなかったので、今回はもう春服になってるかな~と思ってお邪魔してみると、前回はなかったお洋服がたくさんありました。今回の収穫はこんな感じ。

 ヒスのメッシュのロンTとエンブルのチェックのカットソー(ナカムラくんが並んでてかわいい!)に一目惚れして、値段も見ずにどんどんピックしていくのです。どれもこれもめちゃくちゃ安い上に、除外の値札がついているもの以外は全品半額!なのです。低所得者の私でも、かわいいお洋服がこんなにたくさん買えて、とっても有難いのです。LOVERS HOUSEのプリーツスカートは、前回一目惚れしたものの穿く自信がなくて見送った1着だったのですが、今回もう一度見たらやっぱりかわいくて買ってしまったのです。着てみるとウエストはぴったりなのですが丈がミニで怖いので、しばらくはお家で着て楽しむ予定なのです。同じくLOVERS HOUSEのウエストポーチとミニボストンはかわいいから持ってお出かけしたい!

 古着屋さんの次は、ずっと行こう行こうと思ったまま行けていなかった古本屋さんに行きました。「赤僕」を全巻買ったり、90年代のmc Sisterを買ったり、他にはレコードを何枚か買ったのです。レコードだけお見せしましょう。

 大場久美子のこのLP、ネットで買おうと思ってたから実店舗で見つかって嬉しいのです。それから、あんまり言ってないけど、アメリカとシカゴがけっこう好きなのです。割と安く見つかるところも好きです。下段は60年代の洋楽を。「すてきなバレリ」はテンプターズのカバーでよく聴いているのです。勢いがあって好きな曲です。それにしても、モンキーズのEPが増えてゆく……どちらかというとアニマルズを探しているのですが、なかなか実店舗では出会えないのです。唯一見つかったのが「朝日のあたる家」とジャケ欠の「イッツ・マイ・ライフ」。こつこつ集めていきたいのです。

 そんな感じで充実した休日を過ごした翌日の仕事帰りに、ぷらぷらとガチャガチャのお店を彷徨っていたら、発売前から欲しいと思っていたPEZのガチャガチャを運よく見つけたので3回回しました。私は小学生の頃にPEZを集めていて、オールドPEZの中でも特にピエロが好きでした。それが高じてピエロというモチーフそのものも好きになり、一時はピエロの絵ばかり描いていました。今回のガチャガチャのラインナップにもピエロがあり、それがほしくてほしくて、でも2回回しても出ないのです。ウマとヒヨコが出ました。3回目に、ピエロかパンダ(第二希望)が出たらもうやめようと思って回してみたらパンダが出たので、予算的に諦めてその日は帰ったのですが、どうしてもピエロがほしくて、翌日また回しに行ったら、もうPEZの台がなくなっていたのです、ショック! でもパンダもかわいいので鞄につけました。ついでに、これもガチャガチャのナカムラくんの缶バッジもつけたのです。そのナカムラくんの下についてるのは函館のハンバーガー屋さんラッキーピエロの缶バッジです。やっぱりピエロが好きなのです。

 今日もお休みだったので、古着屋さんで買ったお洋服を全部洗濯して、買ったレコードも全部クリーニングして過しました。それから映画を観たのです。「ベッキー」という映画です。劇中のベッキーのスタイリングがかわいいのです。ハロウィンにしたいコスプレナンバー1なのです。

ブライスちゃんのお洋服づくり3

 私の大好きな漫画『ご近所物語』より、特別編『カラフル』で、中学生時代の実果子ちゃんが委員長のお見送りに行った日に着ていたワンピースをイメージして、ブライスちゃんの新しいお洋服を作ったのです。材料と技術の問題で完全再現はできなかったのですが、髪の毛をツインテールに結って脚にリボンを巻いたらちょこっとだけ実果子ちゃんに近づけたような気がしないでもないのです。欲を言えばテンガロンハットがあればもっと再現度が上がるんだけどなあ。さすがに作るの難しすぎるのです。

 低めの位置で切り替えたウエストラインと、ギャザーを寄せまくってポンっと広がるようにしたスカートがポイント。肩ひもはは原作に忠実に背中で交差するデザインなのです。ロング丈やミディ丈のドレスしか作ったことがなかったのですが、膝丈のワンピースってかわいいな、と思うのです。腰高胴短だからローウエストの切り替えも様になっているのです。今度は漫画『山田くんと佐藤さん』の5話で和代ちゃんが着ていたサマードレスを作ろうと目論み、型紙まで引いたところなのです。漫画を読み返してみると、作者の書き込んだコメントから該当のドレスが60年代のバービー人形の衣装に着想を得て描かれていることがわかったのです。ドレスの実物の写真も得意のインターネットで見つかったので、それをヒントにしながらなんとか作っていけそうなのです。ただ、フィットアンドフレアのドレスばっかり作ってても芸がないので、サマードレスを作ったらちょっと毛色の違うものをつくりたいナーと思うのです。60年代風のミニドレスか、大きな襟のジャケットとパンタロンのセットアップなんかを作ってみたいですね。

 

一人ヘタ手芸部の活動15 ~バネ口イヤホンポーチ~

 もう何年も使っているオーディオテクニカのイヤホンの付属ポーチがぼろぼろになって鞄の中に黒い粉を撒き散らしていることに気づいたので、中のバネ口を再利用して新しいイヤホンポーチを作ることにしたのです。参考にしたのは以下の動画。

youtu.be

 例によって寸法は既存のイヤホンポーチに合わせて変更しました。今回は9cm×10cmです。動画では表地裏地共に2枚ずつの布を縫い合わせていたのですが、マチのない袋状のものを作るときに私はいつも縦長の布を二つ折りにしてサイドだけ縫うという方法でやっているので、そこだけは作り方を変えました。

 まずは元のポーチからバネ口を取り外します。金具のサイドにフタがあるのでそれをペンチで開いて中の芯を取り出します。芯は二本とも取り出す必要はないと後から気づきました。

 生地は何も目的もなく買ってあったキティちゃんの布。動画の通りに縫ってバネ口を入れて芯を元に戻したら完成なのです。

 ぱかっと開きます。裏地はピンクのギンガムチェックブルートゥースの無線イヤホンとかいくらでもあるけど、有線のイヤホンが好きなのです。いつも職場の駐車場から職場までの徒歩10分弱の時間を利用して音楽を聴いているので、毎日このポーチにイヤホンを入れて持ち歩いているのです。毎日使うポーチがかわいいと嬉しいものなのです。

一人ヘタ手芸部の活動14 ~帆布のトートバッグ~

 とにかく荷物が多くて鞄が大きいことがアイデンティティーの一部を形成している私は、ここ数年ずっとリサイクルショップで見つけた2000年代のCOCOLULUの超でかいトートバッグを愛用していました。2000年代は、若い子向けのブランドで縦横がでかくてマチは控えめなトートバッグがたくさん売られていたのです。2000年代の若い子はとにかく荷物が多い! 私が愛読している2000年代のHana*chu→の鞄の中身コーナーでも、出るわ出るわ、打ち出の小槌かと見紛うばかりに、普段使いのバッグの中から無数のアイテムが湧き出てくるのです。財布、ペンポーチ、メイクポーチ、アクセポーチ、手帳、プリ帳、プリ缶、ケータイ、制汗スプレー、お菓子、CD、CDプレイヤー、写ルンです、ペットボトル、折り畳みミラー、香水、マンガ…etc…当時は、これらが全て収まる大きな鞄の需要があったのです。打って変わって最近の中学生向け雑誌の鞄の中身コーナーをめくると、そのあまりの優等生ぶり、ミニマリストぶりに驚愕してしまうのです。学校生活に必要ないものは持ち歩かない! でも数少ない持ち物は可愛いもので統一したい! いじましくもかわいらしいお洒落心なのです。
 さて、そんな私愛用のCOCOLULUのトートバッグなのですが、経年劣化で持ち手の金具がバカになってしまい、使用中に度々持ち手が本体からすっぽ抜けるようになってしまいました。加えて、短時間勤務となりお弁当を持参する必要がなくなったため、もう一回り小さいトートバッグに替えることを決意したのです。けれども得意のインターネッツで探せど暮らせど私の求める鞄は見つかりません。私が求めているのは、A4が横にして入る大きさで、マチが大きすぎなくて、ポケットが最低4つついていて、肩にかけて使えるくらい持ち手が長いトートバッグ。見つからないので作るのです。どこにも売っていないトートバッグを探す労力よりも、自分で鞄を作る労力の方がはるかに少ないと見積もってのことでしたが、大誤算だったのです。鞄を作るのって大変ダ! でもなんとか出来上がったのです。
 今回参考にしたのはこの動画。

youtu.be

 使用した帆布がかなり厚手なので接着芯は使わなかったのです。それと、動画のトートバッグはけっこう小さめなので、自分が作りたいサイズ(35cm×28cm×12cm)になるように寸法を変えて作りました。反省点としては、この寸法は外側の寸法であって、内寸は縫い代を縫い包む分だけ小さくなってしまうということなのです。なので35cm×28cm×12cmの内寸の鞄を作りたい場合は外側の寸法が37cm×29cm×14cmになるように作るべきだったのです。通りで出来上がって荷物を入れたときになんかちょっと小さいなあと思ったのでした。みなさんも作るときは注意してくださいね。もう一つ反省点と言うかとても怖かったのは、使用した帆布が結構分厚くて、重ねて縫っている途中でミシンが不穏な音を立てて止まってしまったことなのです。まあ、ともあれ出来上がったのです。

 緑色の帆布とピンクの持ち手、ステッチはジーンズ等に使う黄色い糸を使用。

 内側はこんな感じ。動画にはない内ポケットを加えました。鍵とか入れるのに便利。

 配色めっちゃかわい~。緑とピンクと黄色と赤と紫!

 縫い代を縫い包むのが一番の難所なのです。ここでミシンが異音と共に止まったのです。お気をつけあれ。

 完成した翌日からさっそく使っていて、完成時にブログ用の写真を撮るのを忘れていたので、これらの写真はけっこう使い込んでくたっとしてきたころに撮ったのです。でも生地が丈夫なので割とぱりっとしています。お弁当を持参しなくなったとは言えベースの荷物が多いので、この鞄は常にぱんぱんなのです。中身を小さくするために、今使っているポーチよりも一回り小さいポーチを作ってみようかな、と思うのです。

今年買ってよかった本2022

 私がこの世で15番目くらいに嫌いなものが、芸能人による自分語りから始まる文庫解説です。例えば高校生が主人公の小説の解説なんかで、冒頭からいきなり自分の高校時代がどんな風だったかを語り出し、そんな自分がこの小説世界にいたとしたらきっとこんな風に感じただろうな~みたいな妄想を展開しはじめる手合いが大嫌いです。作文の教科書(そんなものがあるとしたらですが)か何かに載っている、自分の身に置き換えて考える、とか、自分の身近な出来事と絡めて共通点を見出す、とか、そんな手法のつもりなのでしょうか。それで誰かの興味を惹いたつもりなのでしょうか。誰もが自分の身の上に興味があるだろうという思い上がりには辟易します。文庫解説というのは、読者にとって購入の決め手にもなり得る存在なのです。ひとつの指標なのです。この本がどんな本かを知りたい時に、いきなり自分より先にその本を読んだだけの芸能人の自分語りを読ませられて、私はどんな気持ちになればいいのでしょうか。私はこのブログで思う存分自分語りをしますが、それはここが他ならぬ私のブログだからです。自分語りをしたい人は、他人の解説じゃなく自分の本文でやればいいのです。それから、解説で自身と著者が知り合ったきっかけとか、どういう経緯で解説依頼を受けたかとかを長々書くのもやめていただきたいものです。恐縮千万、みたいなふりをしてそういうことを書く人もいますけど、そんなこと書く余裕があるなら作品についてもう少し掘り下げて書けないのでしょうか。余程紙幅が余ってしまったのかな、と思ってしまいます。

 さてさて、「今年買って良かった本2022」と言い乍らもう2023年も4か月を過ぎようとしているのです。でもまあ皆なんだかんだ言って、6月くらいまでは去年の気分を引きずって生きていると思うのです。

 今年買って一番良かった本はこれ! なのです。以前の日記(日記24 - 片・すぐお腹痛くなる。)でもタイトルだけ触れていますが、ざっとあらすじを紹介すると、パンデミックによりマイクロ国家が乱立し国境だらけになった近未来ヨーロッパを舞台に、謎の組織”クルール・デ・ボワ”にスカウトされたエストニア人シェフのルディがスパイ技術を駆使して人や物を密輸する仕事をこなしていく様を描く連作スパイ小説かと思いきや、いつの間にかルディは巨大な陰謀に巻き込まれていて……というスケール感の大きいSFスパイ小説なのです。引き込まれては突き放されるような場面転換に初めは戸惑い、そのうちクセになるのです。何を措いても、皮肉屋でちょっと不遜だけどドジっ子で人が良い、主人公ルディのキャラクター造形が絶妙なのです。本作は《分裂ヨーロッパ》というシリーズの第一作で、同シリーズは本国では第四作まで刊行されているらしいので、続編の翻訳が待たれるのです。もちろんこの一冊だけでも独立した作品として読めますよ。

 

 こちらも既出の日記24で触れ、そこでほとんど語り尽くしてしまったので、『ヨーロッパ・イン・オータム』との符合でも書き連ねましょうか。『ヨーロッパ・イン・オータム』は「ジョン・ル・カレ×クリストファー・プリースト」という触れ込みで売り出されていました。スパイ×SFという意味でしょう。私は両者の作品を読んだことがないので何とも言えないのですが、『アシェンデン』を読んで、ジョン・ル・カレよりもむしろサマセット・モームなのでは? と思いました。スカウトのシーンでは両者とも、乗り気じゃないように見せてから引き受けてみせ、ファビオとルディの一方的にルディが振り回される関係は、どことなく毛無しメキシコ人とアシェンデンのそれを彷彿とさせます。ルディとアシェンデンのキャラクターも似通っているように思えます。どうりで私は二人とも大好きです。それから、イギリス人作家らしいユーモアも共通しています。最後に『アシェンデン』について付け加えると、モームはきっと人間が好きな人なのだろうと思うのです。そういう人の描く人間は面白いのです。

 

 私にとって2022年はGS元年でした。多分きっかけとしては、『9の音粋』というラジオ番組の第90回「年忘れ馬鹿騒ぎディスコ」(2021年12月20日放送)で、私の敬愛するスージー鈴木氏がダイナマイツの『トンネル天国』をかけたことで蒙が啓かれたのだと記憶しています。以前から、私のスターであるガロのトミーがGSが好きだったということもあり、GSは避けては通れないと思ってはいたのですが、それまで取っ掛かりを得る事ができずにいたのです。なんとなくGSというと、タイガースを筆頭とするゆったりしたバロック調の曲が想起され、GS=かっこいいという図式が自分の中で描けずにいたのですが、ダイナマイツの『トンネル天国』は文句なしにかっこいいガレージロックの傑作でした。それから中古でGSのレコードを集めるようになり、もっと見聞を広げようと思ったときに図書館で手に取ったのが本書なのです。そして本書の情報量に圧倒され、これは手元に残して折に触れ参照すべきと判断して購入に至ったわけなのです。この本のおかげで私はビーバーズの『君なき世界』という名盤と出会うことができました。黒沢進は稀代のGS研究家です。彼を超えるGS研究家は今後出てこないでしょう。

 

 これも図書館で、小説の資料として借りたのです。貸出期限内に読み通してしまうのはもったいない良書だと判断して購入しました。その時々のメンズ服の流行がどの地域のどんな階級の者たちによって仕掛けられ、広まり、衰退しそしてまた新しい流行が生まれていったのかが、とても仔細に書かれています。1971年という、本書で主に取り上げられるシーンからそれほど隔世していない時代に書かれた強味を感じるのです。現に今、本書に登場する固有名詞をグーグルで調べても、ろくに情報が出てこないものが多いのです。これからもっと掘り下げたい一冊なのです。

 

 前述の『誰がメンズファッションを作ったのか?』で解説を書いていたデーヴィッド・マークス氏の本なのです。日本におけるアメリカンスタイルの歴史が書かれた本で、これまためちゃくちゃ良書だったのです。石津謙介、VANヂャケット、メンズクラブ、アイビー、みゆき族ジーンズ、カタログ文化、輸入セレクトショップヘビーデューティー、スニーカー、ポパイ、ヒッピー、ヤンキー、クリームソーダニュートラ、プレップ、DCブランド、ヴィンテージジーンズとレプリカジーンズ、ストリート、アベイシングエイプ、プレミア……etc……有機的に移り変わる流行は誰が持ち込み、誰が仕掛け、どこから火がつき、どのように広まっていったのかが、当時の立役者たちへの取材も交えて書かれているのです。かなり面白い本で、おすすめなのです。

 

HOW TO コツ

 これは、よく行くリサイクルショップで30円で買ったのです。結構いい暇つぶしになるのです。

 

 私の敬愛する津村記久子の本が今年も出ました。私はこれを読んで『アシェンデン』と『スポンサーから一言』と『山月記』と『樽』と『響きと怒り』を買って、『アシェンデン』以外全部積んでいるのです。『ストーカー』と『マルタの鷹』も是非読みたいと思っているのですが、とりあえず積んでる本を読んでからでも遅くはないでしょう。本書が書籍化する前の連載の時点で『マルテの手記』と『ずっとお城で暮らしてる』も購入して、こちらは読みました。とても面白かったのです。津村記久子の書く小説が好きで好きで、そんな津村記久子が紹介した本ならなんだって読みたくなるのが私なのです。津村記久子のおかげで私はシャーリイ・ジャクスンに魅了され、『くじ』と『丘の屋敷』を読了し、『壁の向こうへ続く道』を積んでいます。私が翻訳小説をよく読むようになったのも津村記久子のおかげと言っても過言ではないと思います。世界文学にとっつきづらさを感じている人も、この本を読むときっと面白そうと思ってもらえるはずなのです。

 

 多分目次を読んでもらえれば、何か面白いことやってんな~と思って読みたくなるでしょう。基本的に散歩したり飲み食いしたりしてるだけなのですが、ちょっとした工夫や発想で日常が非日常になって面白いのです。

ブライスちゃんのお洋服づくり2

 私がプラッドパレードちゃんをお迎えする前、どうしようかな、お迎えしたいな、でもお金がな……と悶悶としていたときに、立ち寄った書店でこの本を見つけました。

 この表紙の、大きなリボンのワンピースがすんごく可愛くて、いつかブライスちゃんにこんなお洋服を作ってあげたい!という一心で本を抱えレジへ直行した私なのです。つまるところ、ブライスちゃんをお迎えする前にブライスちゃんのお洋服作りの本を買ってしまったわけなのです。この本がプラッドパレードちゃんのお迎えを後押ししたと言っても過言ではないのです。
 さて、今回念願かなって表紙のワンピースを作ったので皆さんにもお披露目なのです。

 せっかくなので本の表紙のブライスちゃんの髪型を真似っこしました。プラッドパレードちゃんには絶対に緑が似合う!と思って、私のお気に入りの緑の薔薇柄の生地を選びました。オーディオカバーやリメイクスカートで度々登場している生地なのです。
 ひとつ反省点として、作り方をちゃんと読まずに作り始めてしまったため、身頃とフリルを荒裁ちしてからタックを縫って前立てを作るという工程をすっ飛ばして裁断してしまい、結果シャツワンピースがただのワンピースになってしまったのです。でもこれはこれで可愛いから結果オーライ。

 壁に凭れて待ちぼうけな表情のプラッドパレードちゃん。

 リボンをカチューシャっぽく巻いてお嬢様風のプラッドパレードちゃん。

 プラッドパレードちゃんがとってもフォトジェニックで何でも着こなしてくれるので、どんどん色んなお洋服を着せたくなるのです。今度作りたいのが、ミック・ジャガーが69年にハイドパークで着ていた白いフリフリの衣装なのです。たんにすごく可愛いから。それから、漫画『山田くんと佐藤さん』の5話で和代ちゃんが着ていたサマードレス! それから、漫画『ご近所物語』の特別編『カラフル』で実果子ちゃんが着ていたフルーツ柄のワンピース! あのワンピースのカラー、袖のふくらみ、カフス、シルエット、ボタンの形、どれをとっても完璧に可愛いんですよね。同作より、委員長のお見送りのシーンで実果子ちゃんが着ていたワンピースも、テンガロンハットと編み上げ厚底サンダルのコーディネート込みで大好きなのです。どちらもぴったりのプリント生地が見つかればすぐにでも作りたいのです。作ったらきっとみなさんにも見せてあげますからね。お楽しみに。