片・すぐお腹痛くなる。

まだ生きていたのか?!

大好きなペンの話

 筆圧が弱くてこだわりが強い私は、学生の時分から書きやすい筆記具に尋常ならざる執着を見せ、一度気に入ると同じものを何本も買い求め、それらが廃盤になると半狂乱になって代替品を探し回ったものでした。
 私が小学生から中学生の頃は、ドクターグリップの全盛期でした。猫も杓子もドクターグリップで、私も1本くらいは持っていたと思います。ドクターグリップをデコレーションするのも流行っていて、グリップやペン軸の外筒を一度外して中にシールを貼ったり雑誌の切り抜きを差し込んだりして自己流にアレンジしていたのです。でも私はドクターグリップってグリップが太すぎて書きづらいナーと思っていました。余談ですが、小学生の頃はシャープペンシルの使用が禁止されていました。でもどうしてもシャープペンシルが使いたい私たちは、鉛筆型のシャープペンシルというものを使っていたのです。これはちゃんと軸が木でできていて、上部にはいかにも鉛筆についているような消しゴムがついていて、ペン先のほんの数ミリの金属製の部分を除けば、どっからどー見ても鉛筆にしか見えないというシロモノなのです。あれは、割かし細くてプラスチック特有の硬さもなくて書きやすかったなあ、と今になって思うのです。デザインも可愛いものがたくさんあってけっこう好きでしたね。またまた余談なのですが、中学生の頃、男子の間で製図用シャーペンを使うのが流行っていました。誰も製図なんてするわけでもないのに、おかしいですよね。閑話休題。最終的に私が行きついたシャープペンシルは、ゼブラのフリシャオートマチックでした。ドクターグリップなんかに比べたら格段に安くて、機能性もそこそこで、何より細めのペン軸と、グリップからペン先にかけて段差のない滑らかなデザインが私の手にフィットしてくれて、大変気に入ったのです。私はこのフリシャオートマチックの、パールがかったミルキーなパステルカラーのラインナップを愛用していました。紫と緑と水色を購入して、今でも水色のものが手元に一本残っているのです。残念ながら既に廃盤になってしまったので、この一本を後生大事に使っていこうと思うのです。
 ボールペンに話題を移すと、私が最も多くの替え芯を買ったボールペンは、間違いなくぺんてるのハイブリッドなのです。このペンは母親が愛用していて、たまたま貸してもらったときにその書き心地に感動して、以来日記を書くにも履歴書を書くにもハイブリッド一択、おそらく何十本のペン軸と、それ以上の替え芯を買ってきました。なんせインクの減りが早いのです。このペンのいいところは、強弱のニュアンスがつけやすくて、自分の意図したとおりの線が書けるところなのです。同じように強弱がつけられるボールペンはたくさんありますが、「はらい」を書くときに、どうしても意図しない方向に線が流れてしまうものが多いのです。ハイブリッドはその点、きっちりと最後の1ミリまで意図したとおりのきれいな「はらい」が書けるのです。唯一欠点をあげるとしたら、キャップのクリップが激弱ですぐにぽきぽき折れてしまうということだけなのです。そもそもクリップの耐久性にそこまで重きを置いていないのでしょう。私は当時小説『プリンセス・ダイアリー』にいたく影響を受けてどこへ行くにも日記を持ち歩いており、日記にしている薄いA5ノートを常時ハイブリッドのクリップで挟んでいたのです。エプロンのポケットかコピー用紙数枚を挟むくらいならそうそう壊れないとは思うのですが、ノート丸々一冊分の紙束を長時間挟み続けるにはハイブリッドのクリップは弱かったというだけの話なのです。
 私がハイブリッドを愛用している頃、周りの女子がこぞって使っていたペンがパイロットのHI-TEC-Cでした。ハイブリッドで書き慣れている私には引っ掛かりが強すぎてガリガリする書き心地に思えたのですが、カラーバリエーションが豊富だったので、かわいい手紙を書きたい時用に何本か持っていたような気がします。ハイテックCと同様に流行っていたカラーペンがセブラのSARASAでしたが、これは私には全く使いこなせないペンでした。何かというとすぐにインクが出なくなって、私にはこのペンを最後まで使い切れた記憶がないのです。そんな私がジェルインキのカラーペンの中で一番好きだったのが、ぺんてるのスリッチです。衝撃的なデビューでした。ハイテックもサラサもシグノも、途中でペン先がダメになってインクが出なくなることがままあるのですが、スリッチにはそれがありませんでした。その書き味たるや驚きの滑らかさで、一時日記に使うメインペンをハイブリッドからスリッチの茶に乗り換えるほど入れ込んでいました。ただ、なぜだかわからず甚だ遺憾なのですが、スリッチも廃盤になってしまいました。こんなに書きやすいペンが廃盤になる意味がわからないのですが、今ではスリッチーズという名前で、カスタマイズ多色ペンのリフィルに形を変えて販売され続けています。私は3色タイプの軸を二本買って、そのうちのひとつにスリッチーズのブルーブラックと紫とピンクを入れ、もう一つにはブルーブラックと水色とオレンジを入れて使用しています。すっごく色がきれいで書き味が滑らかで気に入っているのです。欠点は、インクの減りが早いことと、水に濡れると書いた文字が全部消えることくらいなのです。そんなのはさしたる問題ではないのです。
 カラーペンの話をもう少しすると、学生時代は交換日記やプリクラ帳をかわいくデコるために水性カラーサインペンを使っていました。私の周辺では水性カラーサインペンといえばトンボのプレイカラーが主流でしたが、私が好んで使っていたのは三菱鉛筆のピュアカラーなのです。ピュアカラーは現行品では24色展開ですが、私が最もよく使っていたころは36色展開だったと記憶しています。私は何よりピュアカラーのペン先を愛していました。太字の方は、線の端が丸くなるところと一定の太さで書けるところとペン先がつぶれたり割れたりしづらいところが大好きですし、細字の方は細すぎないところが大好きです。プレイカラーだと細字のペン先が細すぎて私のやりたいデコり方ができなかったのです。ピュアカラーも学生時代に使っていたものが手元に何本か残っているのですが、さすがにインクが掠れてしまっているのです。でも、今では廃盤の色もあるのでなんだか名残惜しくて捨てられないのです。
 話をボールペンに戻すと、仕事や日常生活で気兼ねなく使うのは圧倒的に油性ボールペンなのです。主に自宅では、ペン軸のカラーバリエーションが豊富で見た目がかわいくて安価という理由で、pencoのノックボールペンを5本程度自宅のそこら中に散らして愛用しています。書き味は、速記には向いていないものの概ね狙った線が引けて書きやすいと思うのです。仕事では、専ら取引先から粗品で貰うボールペンを気に入って使っていて、一昔前はパイロットのパティント、今は同じくパイロットのオプトを使っていることが多いです。どちら同じインクが入っていて、私はこのインクがとても書きやすくて気に入っているのです。ただ、パティントはクリップが壊れると一巻の終わりで、私はとても頻繁にクリップを壊すので、クリップが壊れても筆記できるオプトの方が自分には向いていると思うのです。私がパティントのクリップを壊しまくっている頃、世間ではジェットストリームが全国民の手に渡るレベルで浸透していたのですが、私がジェットストリームで筆記すると紙からペン先を離すときにインクの糸がみょんみょんと伸びて汚くなってしまうのです。
 私の気に入る筆記具はパイロットかぺんてるのものが多いのです。試し書きができない売り場でボールペンを選ぶときは、パイロットかぺんてるのものを選ぶようにしているのですが、今のところ失敗はほとんどないのです。みなさんにも好きな文房具メーカーがあるでしょうか。筆圧もペンの持ち方も人それぞれですから、それぞれに書きやすくて気に入った文房具があると思うのです。

 これまた余談ですが、私が学生の頃に一番好きだった消しゴムはプラスのAIR-INでした。軽くこするだけできれいに消せて、千切れにくいところが大変気に入っていたのです。